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一期一会

三養荘百会楽話 [対談11]三養荘

一期一会
三養荘
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三. レトロロマンの宿

[百会楽話]渡辺淳一 × 向井聖子 庭園より
[百会楽話]渡辺淳一 × 向井聖子 庭園の様子
[百会楽話]渡辺淳一 × 向井聖子 庭園の様子
百会楽話 渡辺淳一 × 向井聖子 宴会場
百会楽話 渡辺淳一 × 向井聖子 虫の音を聞きながら
百会楽話 渡辺淳一 × 向井聖子 大正ロマンを感じる部屋
百会楽話 渡辺淳一 × 向井聖子 三養荘
向井聖子(むかい しょうこ)
三養荘 女将

蒲郡プリンスホテル勤務を経て、伊豆長岡の「三養荘」の女将となる


渡辺淳一(わたなべ じゅんいち)
北海道生まれ。医学博士。1958年札幌医科大学卒業後、整形外科講師となり、医療のかたわら小説を執筆。1970年『光と影』で直木賞を受賞。1980年に吉川英治文学賞、2003年には菊池寛賞などを受賞。北海道・札幌に渡辺淳一文学館がある。作品には「阿寒に果つ」「無影燈」「白夜」「ひとひらの雪」「失楽園」など多数。現在文壇の第一線で活躍している。

オフィシャルブログ | 渡辺淳一文学館
渡辺 こんな広くて素敵なお庭があるんだから、華やかなお茶会とか、何かイベントをやるといいね。
向井 年に4回お茶席を設けています。お正月が明けますと、2月の初午に山のほうの庭内にお稲荷さんがあるものですから、紙でできた五色の旗に、五穀豊穣と商売繁盛を込めて奉納、お参りをしていただいて、そこでお茶席を設けます。その後、お食事会をします。枝垂桜が満開の時期には、観桜会を芝生の庭園で野だてをやります。
渡辺そんなこと、東京の人は知らない。
向井 とてもいいんですよ。それから、七夕、最後に観月茶会、これは夜、お庭で行います。お月さんが奇麗。虫の音を聞きながら、お庭にろうそくを灯して、とても趣があります。
渡辺 あららら。それは知らなかった。
向井 一応、パンフレットには掲載しているんですけど。近隣の方には通知をお出ししています。
渡辺 近隣の人だけじゃもったいない。
向井 そうですね。今度、女性誌の方に取材していただきます。
渡辺女性誌も、こういうオーソドックスな日本旅館をもっと取りあげなければねえ。ところで女将さんの着物、とてもセンスがいい。
向井 先生に褒めていただくと嬉しいです。
渡辺 それは自前ですか。
向井 いろいろです。本当は芸者さんをお呼びするといいんでしょうけど。先生は芸者さんをお呼びすることはないんですか。
渡辺 京都や新橋ではよくありますよ。ここに芸者さんいるんですか。
向井 地元には昔からの方がいるんですけど、やはりなり手が少なくて、ちょっと年齢が高くなっています。お一人、年配の方ですが、かっぽれを踊りながら、お猿の格好をするんです。お上手で楽しいです。機会があったら、ぜひ。
渡辺 そうか。かっぽれといったら幇間が面白い。東京にまだ4人残っているんだけど。
向井 私もお一人だけお食事会の時に拝見しました。
渡辺 あまり高級なところでやる芸ではないけど面白い。今度、僕の編集者の会に呼ぼうと思って、櫻川七好っていうんだけど。ここは宴会もやりますか。
向井 はい、大きな宴会場があります。70畳と128畳。
渡辺 明日、見せてもらおうかな。
向井 ぜひご覧になっていただきたいです。128畳の大きな宴会場は、舞台の背景が江里佐代子先生という截金細工で人間国宝の方の作品です。残念なのですが、昨年の10月にフランスでお亡くなりになったんですが、それはもう自慢のものです。踊りが映える舞台です。明日は、ごゆっくりしていただけますか。いつも何時ごろお目覚めですか。
渡辺 僕はめちゃくちゃなの。起きろといわれればいつでも起きるし、寝なさいっていわれれば、いつでも寝られる。
向井 あまり睡眠はお取りにならないんですか。
渡辺 いやいや、絶えず取っている(笑)。新幹線でも眠るし、時間があればどこでも。鈍感力でね。朝飯は何時ですか?
向井 8時ぐらいですから、9時過ぎのご案内がよろしいでしょうか。128畳の広間から70畳へ行くところに、「バー狩野川」と呼んでいる建物があります。初代の東京市長の後藤新平さんの別邸が近くにありましたのを移築しました。バーにして、2次会の貸し切りの時だけお出ししているんです。大正ロマンを感じる部屋で、雰囲気があります。
渡辺 それは楽しみだ。
向井 梁が太くて、昔ながらのお部屋です。レトロでモダンなんですよ。
渡辺 結婚式をする人もいらっしゃいますか。
向井 はい。三島大社で式を挙げて、ここで披露宴をという方がいらっしゃいます。たくさんはないんですが。お座敷ですから、皆さんにお座りいただくのが、最近ではなかなか大変です。時代が変わっていますから。
渡辺 三島大社は由緒ある神社だからね。枝垂桜もなかなかで。
向井 ええ、いいところですね。私もつい2、3日前、結婚式であちらへ。
渡辺 新館は、いつできたんですか。
向井 昭和63年から平成5年にかけて作られました。村野藤吾先生の設計です。
渡辺 あの人はプリンスホテルの設計を、ほとんどやってるじゃない。
向井 そうなんです。で、ここが最後だったんですが、完成する前にお亡くなりになってしまったんです。
渡辺 ほかにもたくさん設計しているみたいだけど、僕は、村野さんの設計でね、どうかなと思っているところがあるんだけど。洗面台がベッドのすぐ近くにあって、ちょっと早く起きて口などゆすいでいると、横で寝ている人に聞こえてしまう。洗面はやはり別室のドアの先に作るべきで。
向井 そんなお部屋がありますか。
渡辺 どんな偉い建築家でも、女性連れで行く人でないとわからないところがある。ホテルの設計をするにはそのあたりもね。(笑)
向井 実際に女性といろいろ行かなければ、わからないんですね。(笑)
渡辺 そう。とくに最近はデザイン性ばかり優先して、洗面台を特別ガラスで作ったり。おしゃれだけど、使い勝手が悪いね。
向井 先生、たくさんいろいろなところに行ってらっしゃるから、今度、どんな宿泊施設がいいのかうかがいたいですね。



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Photographs by 安井敏雄

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