


古谷青游 (ふるたに せいゆう)
江戸時代末に暖簾を掲げた老舗旅館 蓬莱の女将。
江戸時代末に暖簾を掲げた老舗旅館 蓬莱の女将。
女将という仕事 |
| 渡辺 | 女将さんは一番重労働。気の休まる時間がないと思うけど、どうですか? |
| 古谷 | しつらえとかも、自分の嫌なものを置かないで、好きなことしかしないと、あまりストレスってないんですね。お花を活けるのも、季節で掛け軸を変えたり、玄関の飾りを変えたり、楽しいんですよ。 |
| 渡辺 | 自分の好みで勝手にやっているから。 |
| 古谷 | お料理が毎月変わるからどうしようって、大変なんですけど、お客様に「ああ、おいしかったよ」「今月のしつらえ、面白かったね」と言われると、やっぱりそれが励みになって。 |
| 渡辺 | いまでも女将には色気があるけど、それは、接客するからだよ。 |
| 古谷 | 色気なんてないです。 |
| 渡辺 | やっぱり接客やめたらダメだよ。銀座でクラブをやってた人も言っている。やめて一気に老けたって。 |
| 古谷 | そうかもしれない。先生、私やめられないわね。玄関で「いらっしゃいませ」って言った時にコトっと逝けたらいいな。 |
| 渡辺 | それこそ大往生。一番の理想だね。確かにここには、いろいろなところに女将の好みが生きている。固定客が多いのは、そこに気に入っているからなので。 |
| 古谷 | でも時代がこうだから大変です。昔のおなじみさんっていうと、そこしかおいでじゃなかったの。今、マスメディアがすごいじゃないですか。お食事をなさりながら、料理番組をご覧になるお客様って結構いらっしゃるんです。やっぱりそういう時代。 今度はあそこに行こう、ここに行ってぐるっと回って、あそこはこうだった、ここはこうだったっていろいろ教えてくださる。そういうおなじみさんもいらっしゃる。行かないのにいろんなことがわかって、ありがたいことです。だからそれはそれでいいことですよね。 |
| 渡辺 | 時代とともに、いろいろな意見をくみ取ってね、ただの頑固じゃなくて。 |
| 古谷 | 若い時に、いろんなことお客様に教わるじゃないですか。「そのあいさつは何だ」とか、「こんな料理、食べられるか」とかしかられて。優しい人は怒ってくださるわけですね。怒らない方は二度といらっしゃらないでしょ。 |
| 渡辺 | 最近はあまり怒らないな。みんな。 |
| 古谷 | 昔いい時代に社員旅行でいらして、それから毎年1月に役員の旅行で貸り切ってくださるお客さまが、こういう料理じゃなくて、旅館もお肉を出したらどうかって。先生、それ大昔ですよ。そして、連れていってくださって、こういう料理が出せるかもしれないって、初めて私お肉の料理を考えたんです。先生も、ヴィラ・デル・ソルというホテルを再開する時に、ヌキテパへ連れていってくださって、そこで、今のシェフに出会ったんですよね。もう12年になるんです。やっぱりいろんなものをいろんな方にいただいて、現在があるんですね。 |






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