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一期一会

広末涼子広末涼子 心に残る出会い4

広末涼子 新しい私
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[4]憧れのマダム

広末涼子 イメージ1 私が憧れる女性の中で、19歳のときに出会ったマダムがいます。仕事で必要になったので、フランス語を習得するために、ホームステイをしたパリのお宅のマダムです。彼女は、60代半ばで、とても気品がありました。雑誌の編集者の経験もある自立した女性ですが、家族も大事にしている方でした。
私は1ヵ月間お休みをいただいて、パリに行ったんです。それまで仕事が忙しすぎて、何かやりたいと思っても時間が足りなかったり、冒険もできませんでした。初めて自分の意志で新しいことを取得できるチャンスだったし、1日24時間が自由に使えるのも初めてでした。朝早く起きて体を動かして、先生が来るまで復習をして、1日に5時間くらい先生についてもらってみっちり勉強です。台詞を全部MDに落としてもらい、お風呂でもどこでもずっと聞いていたので、ぜんぜんしゃべれないのに、なぜか夜に見る夢はフランス語でした。(笑)

広末涼子 イメージ2 家からほとんど出ず、毎晩、マダムと一緒に夕食。ずっとご馳走になっていたので、一度私が、てんぷらパーティーを主宰したんです。料理上手な叔母から、“衣をパリッとさせるには氷水で冷やす”とか、コツをファックスで送ってもらって。文化の違いも見えましたね。「味噌スープを先に出してね」と言われたり(笑)。「えーっ! てんぷらを出した後に、味噌スープとおにぎりを出したいのに、最初?」みたいな(笑)。「前菜は何にするの?」と言われたので、実家からかまぼこを送ってもらったんです。すごく気に入ってもらえたみたいでしたね。「これは魚よ」なんて、必死でフランス語で説明しました。

マダムは干渉し過ぎない接し方をしてくれて、でも、素敵なものを見せたいという気持ちが、細かいところで伝わってきました。週末には、ショーを観に行かないか、ロンドンに行かないか、などと誘ってくれたんですが、勉強が忙しかったので行けませんでした。
ホームステイを終えるとパリで撮影が始まり、マダムに会いに行きたいのに、まったく時間がないんです。せっかく同じ町にいるのにもどかしかったですね。
ある日、美容室に行くと、偶然そのマダムも来ていたんです。ほんとに、びっくりしました。そうしたら彼女がにっこり笑って、「涼子、これが人生よ」。その言葉が、すごく素敵で、心に染み入りました。

広末涼子 イメージ3 日本人は「人生」という言葉を、どちらかというと、悲観的に使う場合が多い感じがします。「人生ってそんなもんだよ」とか。私もそれまで「人生」という言葉を、そちらのイメージで捉えていたんです。そのとき、「偶然は必然だ」という意味を人生に置き換えたマダムの言葉にぐっときましたね。決してすべてを楽観的に観ているわけではないけれど、悲観的でもない。いろいろな経験を経て、自分に起きることを受け入れて、成熟していって――私も、将来、彼女みたいな女性になりたいなと思いました。

今は10代の頃に比べると、野望というか、野心がなくなったかな。頑張ることも好きだけど、気を抜くことも好きになりましたね。今は『キル』で全開のオンにしている自分がすごく好きだけど、オフでだらしなくなって2、3キロ太った自分も好き。そういう緩めた時間もあるから、頑張れるんです。そのように考え始めたのは、年齢もあるけれど、生活が変わったことが大きいでしょうね。限られた時間のなかで、自分が何をするのか考えなくてはいけない。責任も感じるようになったし、いろいろなことを今までよりも長い目で考えられるようになりました。 女優としてだけではなく、たくさん立ち位置があるなかで、バランスをとりながら、どう生きていくかを考えたいですね。

広末涼子
広末涼子 ― ひろすえ りょうこ ―
1980年、高知県生まれ。第一回クレアラシル『ぴかぴかフェイスコンテスト』グランプリ獲得後、同CMでデビュー。テレビ、映画、舞台と各方面で活躍している。2007年12月、2008年1月、NODA・MAP第13回公演「キル!」に出演。
広末涼子 オフィシャルサイト

『キル!』稽古風景 撮影:加藤孝






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