

『キル』で私が演じるシルクは、とてもキュートでピュアで、凛としている女の人。感情もストレートに出す女性です。
私とは、かなり違うタイプの人間だと思いますね。たとえばテムジンに食ってかかるシーンがあるんですが、そんなふうに感情をぶつけられる女性って、たぶん3割程度ではないかな?と思います。あとの7割の人は、できない気がします。私もその7割のほうかな……。
稽古のとき、「ガーッと言ってくれ」と言われた時に、「日常生活ではそんなに大声を出さないから難しいな…。」と思ったことがありました。「そういう人もいるよ」と言われても、自分にはない要素だとうまく消化できないことがあるんです。
「ちょっと、分からないんですけど。どうしたらいいですか?」。はねのける感じなのか、あるいは、テムジンの胸倉を掴めばいいのか。でもいざやろうと思うと、なかなかうまくいかなくて……。
シルクは思ったことをすぐ口にします。素直で純粋な女性なんでしょうね。私も「嬉しい」とか、プラスの感情はどんどん出していきたいけど、ネガティブなことはなかなか出せません。シルクみたいにストレートに出せたら楽かもしれない、と思いました。
彼女、始めは、若くてちょっとおバカさんなんです。“天然”な感じが、変に“ぶりっこ”に見えてしまうのでは? 前半、そう受け止められないように、素直に可愛い女性に見えるようにできたらいいなぁ、と思いながら演じています。
シルクの台詞に、「モデルが字を書けると思う? 2000年たってもモデルは字を書けない」という一節があります。でもテムジンとの距離を縮めていく手紙、つまり「言葉」と出会うことで、どんどん成長していきます。子どもを身ごもったり、状況が変わるにしたがって、女性として強くなっていく。2時間のお芝居のなかで、「同一人物なの?」と思うくらい変化していきます。
人、とくに女性は、そういうものだと思いますね。どんどん順応して、成長して、個性も持って――きっと男性よりも変化していく動物なのかなと思います。舞台上でも、最初は若くて不安定な女性だけど、見ているうちに説得力がある存在になる。女性の観客の皆さんはシルクにすごく感情移入できると思います。だからぜひ、女性に見てほしいですね。
