

今年2月に、宝塚歌劇団を退団しました。宝塚に在籍していた15年間は、長かったようで、振り返ったら、あっという間でした。
今の私があるのは、宝塚のおかげです。基本的なものの考え方、捉え方は、宝塚でいろいろな方との出会いや経験で学びました。
ひとことで言うと、精神的に強くなった、ということでしょうか。楽しいこともあれば、もちろん、つらいこともたくさんあります。そのなかで流されてしまうのは簡単かもしれないけれど、私は自分を見失わないでいたいと、ずっと思ってきました。
退団を決めたその日、退団後はしばらくのんびりしようと考えていました。下級生の頃は、車の免許を取りに行く時間もありましたが、退団する4年前くらいからは休みもなくやっていましたので。おかげさまで念願かなってハワイに行きました。開放感と期待でいっぱいでした。退団直後2ヵ月は、今までは経験したことのない休みをゆっくり味わいました。
実は退団するまで、その後、どういう道に進むのか考えられずにいたんです。ただひたすら、最後の公演に集中しようという思いでいっぱいでした。
2ヵ月間、ボーッとする時間をとり、ゆっくり考えているうちに、やっぱり舞台が好きから離れられませんでしたね。お客様が喜んでくださる姿や温かい拍手が鮮明に思い出されて……どれだけできるかはわからないけれど、やはり演じる世界でチャレンジしてみようと決心しました。
9月、『愛、時を越えて――関ヶ原異聞』という音楽劇の主演をさせていただきます。舞台は安土桃山時代で、私はドラキュラと出雲のお国の二役。二役と言っても、昼間はドラキュラが出雲のお国の体を借りているという設定なので、まったく別人物というわけではありません。宝塚出身は、私の他に華城季帆さん、それから歌舞伎界からは市川笑也さんや市川段治郎さん、またミュージカル界の方など、いろいろな世界の方々との顔合わせが面白いと思います。市川笑也さんは、女形として出るのではなく、男役として出演します。
まったく初めての方たちと舞台を踏むわけですから、私自身にとって多くの発見があると思います。本物の男性と一緒にお芝居をするのは初めてですし(笑)、すごく新鮮です。
せっかくお国を演じるのですから、女性としての部分も出したいと思っています。ただ台詞のなかにも「男でも女でもない」という設定があるので、ニュートラルな感じで作っていきたいですね。一方、ドラキュラは、ひたすら怪しく演じたい。なぜ血を吸うようになってしまったのか。お芝居のなかで、ドラキュラの過去の悲しみも触れています。そのあたりも説得力を持って演じられたら、と思っています。
