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一期一会

瀬戸 朝香瀬戸 朝香 心に残る出会い5

女優は一生の仕事

[5]女優は一生の仕事

瀬戸 朝香 イメージ1 転機になったのは、『age、35』という映画との出会いです。私が演じたのは24歳の女性で、中井貴一さん演じる主人公と不倫関係になり、一人で子どもを産んで育てるという設定です。当時私は18歳。“不倫”と聞いてもピンとこないし、秘書の役でパリッとしたスーツを着て、ハイヒールでカッカッと歩く。まだ演技にも慣れていないのに、自分とかけ離れた大人の女性を演じなくてはいけません。正直、頭を抱えてしまいました。

もう役が決まっているのに、「私には無理です。やめます」なんて言い出して、事務所の人を慌てさせたり(笑)。ほんとうに、苦しかった。
監督はとても厳しくて、撮影期間中は、ずっと怒られっぱなしでした。一切、演技を褒めてくれなかった監督が、撮影を終えて打ち上げの時に、「よくやったな」とひとこと言ってくださった。あの厳しい監督が、そう言ってくれた……本当に嬉しかったし、それが何より自分の励みになりました。

それまで、「私はこのままでいいんだろうか」とずっと思ってました。撮影の時間はいいんですが、いったん現場から離れると、悩んでばかりで。女優として何もできないのに、ずっとここにいていいのかな、という思いが強くあったんです。それなりに評価をしてくださる方もいたとはいえ、素直に受け入れられない。何度も「もうやめて親元に帰ろう」と思いました。

瀬戸 朝香 イメージ2 『age、35』は、評判もよかったんですよ。「あのシーンで泣いたよ」とか「感動した」と言われると、「私の演技を見て感動してくれた人がいたんだ。それって、すごい」と私が感動してしまって。そういう感想をいただいたことが、本当に嬉しかったし、力が湧いてきました。
演技がうまいかどうかは別として、伝わったか、伝わらないかということで言えば、伝わったんだ、と確信できました。気持ちが伝わったとしたら、女優は自分に向いているのかもしれない。だったら、もっともっと、伝えていく演技をしよう……そんなふうに思えた。この作品との出会いが、女優を続けることを決心するきっかけになりました。

今もまだまだ、勉強しなくてはいけないけれど、少しずつ引き出しは増えています。今までの経験を、引き出しから出して演技できるようになってきたかなと感じています。

シナリオを読んだ段階で自分なりに役を作っていくと、監督から「その感じで大丈夫です」と言っていただけることが増えました。もちろんディティールに関しては、いろいろな要求はされますが、ベースの部分では監督が求めているものからそうはずれないようになりました。
もう、女優をやめようとは思いませんね。



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瀬戸 朝香
瀬戸 朝香 ― せとあさか ―
1976年、愛知県生まれ。
92年、映画『湾岸バッドボーイブルー』で主演デビュー。同作品でキネマ旬報新人女優賞を受賞。その後も映画やTVドラマ、CMなど幅広い分野で活躍している。出演作品は映画『大失恋』『着信アリ 2』『それでもボクはやってない』、TVドラマ『君といた夏』『Age,35』『新・夜逃げ屋本舗』『大奥 第一章』など多数。2002年『とらばいゆ』で第24回ヨコハマ映画祭主演女優賞を受賞。映画『怪談』は2007年8月4日より全国一斉ロードショー


撮影:和田直樹
映画写真提供:© 2007『怪談』製作委員会
ドレス・シューズ…アンテプリマ/サイドフェームジャパン
スタイリスト…阿井真理 Ai Mari






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