

先日、東京藝術大学の学生さんたちが制作した映画『ラッシュライフ』に出演しました。現場はプロではないから、それは過酷ですよ。でも、それも楽しいんです。監督・スタッフの卵たちと一緒に作るのも。「みんなこういうところから始まったんだよね」ということを思い出させてくれるんです。
学生さんからお話がきたのも嬉しかったですね。それに、そういう環境でもこんなにいい映画撮れたぜって思わせたいなって思ったんです。プロに比べたら、技術は伴っていないし、何のオーガナイズもされていないけれども、彼らの何かをやろうという熱いものは伝わってきた。私も20代はこうだったんだと思い出しましたね。散々文句は言いましたけど(笑)。一人二役の役柄を演じました。恋人がいて、その恋人と奥さんを殺す計画をしていたけど、実は奥さんと恋人が私を殺そうとしていた。一週間、山の中のロケで、スケジュールもカツカツですから、寝られませんでしたけどね。(笑)
自分自身もたぶん変わってきたんだと思います。学生さんが創る映画に出てみたいと思ったのは、自分でも不思議ですね。いつか学生さんたちが映画監督になって、またご一緒できたら素敵ですよね。
「一期一会」という言葉は大好きなんです。運命って本当にあると思います。あのとき、あの人に会っていたから、今こうなったとか。縁がない人はまったく縁がありません。でも、出会ったんですから、やはり何かあると思うんです。
これまでの私の仕事人生で、それを一番に感じさせてくれたものは、『赤目四十八瀧心中未遂』ですね。車谷長吉さんの本に出会ったことです。本屋で手に取ったのが、ハードカバーの時だから22才かな? 読書カードに「これを映画化することがあったら、絶対この役は私にやらせてください」と書いて送ったんです。作者に手紙を書くなんて初めてでした(笑)。生臭い中にいながら、凛と一所懸命生きている綾にすごく感銘を受けて、興奮したままで書いたんですね。
本を読んでは、この役やりたいと思っていましたけど、「これは私しかいない」と思い込んだのは初めてでした。風の噂で「誰々がやるかもしれないよ」とか「どこそこが映画化権を買ったよ」とか耳に入ってきます。そのたびに「私じゃなかったら、もう映画自体なくしてほしい」というぐらいに思っていたんですよ。それぐらいの思い込みでした。
車谷さんは、20代の子がこの本をいいと思い、その役を演じたいと思ったことが、すごく嬉しかったそうで、映画化の話が出たときに、私のことを覚えていてくださったんです。はがきを出してから、もう6、7年経っていましたから、あり得ないと思っていたんですね。でも、何がどこでどう転がるかわからないことも、そこで知りました。
現場でも学びましたね。一個のものに賭ける全員の意気込みが、本当にすごい。低予算の中で、選りすぐりのスタッフを集めてくれました。私も「なんでもやります!」という意気込みでしたね。だから、ひとつ神様がプレゼントしてくれたのかなぁ、なんて思いました。私は、何かに出会ったとき、今まで直感で生きてきました。これだと思ったときは瞬時に決まるんです。決めたら、もうためらいも迷いもありません。
『赤目四十八瀧心中未遂』は大胆なシーンもあり、母に猛反対されましたが、反対をなんとも思わなかったですから。誰がなんと言おうと、やる気持ちでした。撮影が始まって、改めて、本当にこの役をやりたかったんだと、毎日実感していました。まるで何かにとり憑かれていたようでしたね。
