Web Magazine TOP > 心に残る出会い
一期一会

寺島しのぶ寺島しのぶ 心に残る出会い1

自分に正直に生きたい1
第1話 第3話 第4話

[2]何考えているかわからない女優

寺島しのぶ ゲゲゲの鬼太郎 撮影風景1 7月12日から公開される『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』では、濡れ女を演じています。特殊メイクを、一度やってみたかったんですよね。でも、ウキウキしていたのは、型を取ったぐらいまででした。そのあとはメイクに時間がかかって、「もうなんで?! 早く帰りたいのに」と思っちゃって(笑)。女優というのは変身願望があるから、特殊メイクも最初はウキウキしてやるけれども、最後は「二度と嫌だ」と言って帰っていくと聞きました。そうだなと思いましたね。顔も石膏で全部の型を取って、怖かったし、手間もかかったけれど、いい経験をしました。この役柄も愛せたから演じられたんです。愛すべき濡れ女でしたね。
子ども向けの妖怪映画ではありません。ちゃんとストーリーが書かれていて、CGも、第一作目よりさらに気合を入れて作られたようですよ。一作目は子ども向けでしたが、二作目は大人も観られる、大人の鑑賞に堪えるものです。出演者として呼んでいただけて、私も光栄でした。

11月公開の『ハッピー・フライト』では、一転してキャビン・アテンダント(CA)、34歳のチーフパーサー山崎麗子を演じています。ある副操縦士のパイロット昇格訓練となるホノルル飛行。それを舞台に繰り広げられる物語で、麗子はいわゆるお局系です。カリカリ、カリカリしていて、新人を怒鳴り散らして。厳しさの中にちょっとだけ優しさがあるけれど、ほとんどその優しさは見せない。ザッツパーフェクトという人間。それだけに、うまくやらなければいけない役だったので、大変でした。現役のCAさんからは「私たちが何年もかかってやることを3日でされるんですから」と言われて、本当にそのとおりと思いました(笑)。でもやらなければいけないので頑張りましたよ。普通は、機内に入れないし、訓練だって受けられませんから、貴重な経験でしたね。全員で行列になって歩くところありますよね。 あれ夢だったんです。しかも先頭だったので、ちょっと燃えました。(笑)

来年公開『守護天使』では、カンニング竹山さんと夫婦をやらせていただきました。岩手から出てきたズーズー弁のすごく暴力的な女性(笑)。全編岩手弁で、ジャージ姿です。だらしなーい人間をやっています。竹山さんは哀愁が漂っていて、すごくかっこよかったですよ。最後はちょっとキューンとする仕上がりになっています。

そして、10月、11月には舞台をやります。ノエル・カワード作の『私生活』。1930年に作られたソーシャルコメディーです。自由奔放な、これぞフランス女性という人物を演じます。楽しみですね。躍動感があって、こういう女性役で1年が締めくくれるのは、嬉しいんですよね。暗い役で締めるとちょっとね(笑)。前向きな終わり方がいいんです。

寺島しのぶ ゲゲゲの鬼太郎 撮影風景2 こうやってみると、さまざまなジャンルをやらせていただいて、本当にありがたいと思います。私としては、どれかに固執することなく、どんな役もやりたいんです。混乱しないのかと聞かれますが、役柄がまったく違うので、現場へ行って、メイクをしてもらって、衣装を着けると、完全にその人間になれるんですよ。

女優って選ばれる立場ですから、キャスティングリストに「寺島しのぶ、これってありなんじゃないの?」というものをやっておかないといけないと思うんです。偏ったものばかり演じていると、「この役は、寺島はやらないだろう」と勝手に決めつけられてしまいますから。とにかく演じる側としては、「いや、これもやりますよ」と、まずはできることを前面にお見せしておかないと。この世界、イメージが簡単についてしまいますから。

常に「何考えているんだろうね、この役者は」と思われたいですね。ずっと「この人どこへ行っちゃうんだろう」という裏切りをしていきたい。仕事の選び方もムチャクチャなほうがいいと思うし、いろんな顔を出していきたい。役の人間らしさの何かを掴んで、そこにいられるというのがすごい役者だと思うんですよ。私はそこを求めているんです。だから、役をもらったときに、この人はどんな食べ物が好きで、何がどうなって……と物語を作っている自分がすごく楽しい。そうやっているうちに、だんだん歩き方やら何やら、その人間になっていく。変わる自分を楽しんでいるんです。



YOU
寺島しのぶ ― てらじましのぶ ―
1972年12月28日、京都市生まれ。父は七代目尾上菊五郎。母は富司純子。青山学院大学卒業。文学座を経て、数々の舞台、映画、ドラマで活躍する。映画『赤目四十八瀧心中未遂』で2004年日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、ブルーリボン主演女優賞など主要な映画賞を総なめにした。また、2006年には、舞台『書く女』で朝日舞台芸術賞、読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。そのほかに舞台『グリークス』『欲望という名の電車』『ヴェニスの商人』、映画『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』『愛の流刑地』など、出演作多数。07年4月、フランス人アートディレクター、ローラン・グナシアさんと結婚。
7月10日(木)よりテレビドラマ『四つの嘘』(テレビ朝日系列・木曜夜9時〜)に出演。映画も、『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(7月12日より全国松竹系公開)、『ハッピー・フライト』(11月15日より全国東宝系公開)、『守護天使』(2009年春公開)と作品が控えている。舞台『私生活』は10月3日(金)〜31日(金) シアター・クリエ 、11月2日(日)・3日(月・祝)中日劇場、11月4日(火)〜9日(日) シアターBRAVA!にて上演予定。








もどる