

7月12日から公開される『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』では、濡れ女を演じています。特殊メイクを、一度やってみたかったんですよね。でも、ウキウキしていたのは、型を取ったぐらいまででした。そのあとはメイクに時間がかかって、「もうなんで?! 早く帰りたいのに」と思っちゃって(笑)。女優というのは変身願望があるから、特殊メイクも最初はウキウキしてやるけれども、最後は「二度と嫌だ」と言って帰っていくと聞きました。そうだなと思いましたね。顔も石膏で全部の型を取って、怖かったし、手間もかかったけれど、いい経験をしました。この役柄も愛せたから演じられたんです。愛すべき濡れ女でしたね。
子ども向けの妖怪映画ではありません。ちゃんとストーリーが書かれていて、CGも、第一作目よりさらに気合を入れて作られたようですよ。一作目は子ども向けでしたが、二作目は大人も観られる、大人の鑑賞に堪えるものです。出演者として呼んでいただけて、私も光栄でした。
11月公開の『ハッピー・フライト』では、一転してキャビン・アテンダント(CA)、34歳のチーフパーサー山崎麗子を演じています。ある副操縦士のパイロット昇格訓練となるホノルル飛行。それを舞台に繰り広げられる物語で、麗子はいわゆるお局系です。カリカリ、カリカリしていて、新人を怒鳴り散らして。厳しさの中にちょっとだけ優しさがあるけれど、ほとんどその優しさは見せない。ザッツパーフェクトという人間。それだけに、うまくやらなければいけない役だったので、大変でした。現役のCAさんからは「私たちが何年もかかってやることを3日でされるんですから」と言われて、本当にそのとおりと思いました(笑)。でもやらなければいけないので頑張りましたよ。普通は、機内に入れないし、訓練だって受けられませんから、貴重な経験でしたね。全員で行列になって歩くところありますよね。 あれ夢だったんです。しかも先頭だったので、ちょっと燃えました。(笑)
来年公開『守護天使』では、カンニング竹山さんと夫婦をやらせていただきました。岩手から出てきたズーズー弁のすごく暴力的な女性(笑)。全編岩手弁で、ジャージ姿です。だらしなーい人間をやっています。竹山さんは哀愁が漂っていて、すごくかっこよかったですよ。最後はちょっとキューンとする仕上がりになっています。
そして、10月、11月には舞台をやります。ノエル・カワード作の『私生活』。1930年に作られたソーシャルコメディーです。自由奔放な、これぞフランス女性という人物を演じます。楽しみですね。躍動感があって、こういう女性役で1年が締めくくれるのは、嬉しいんですよね。暗い役で締めるとちょっとね(笑)。前向きな終わり方がいいんです。
こうやってみると、さまざまなジャンルをやらせていただいて、本当にありがたいと思います。私としては、どれかに固執することなく、どんな役もやりたいんです。混乱しないのかと聞かれますが、役柄がまったく違うので、現場へ行って、メイクをしてもらって、衣装を着けると、完全にその人間になれるんですよ。
女優って選ばれる立場ですから、キャスティングリストに「寺島しのぶ、これってありなんじゃないの?」というものをやっておかないといけないと思うんです。偏ったものばかり演じていると、「この役は、寺島はやらないだろう」と勝手に決めつけられてしまいますから。とにかく演じる側としては、「いや、これもやりますよ」と、まずはできることを前面にお見せしておかないと。この世界、イメージが簡単についてしまいますから。
常に「何考えているんだろうね、この役者は」と思われたいですね。ずっと「この人どこへ行っちゃうんだろう」という裏切りをしていきたい。仕事の選び方もムチャクチャなほうがいいと思うし、いろんな顔を出していきたい。役の人間らしさの何かを掴んで、そこにいられるというのがすごい役者だと思うんですよ。私はそこを求めているんです。だから、役をもらったときに、この人はどんな食べ物が好きで、何がどうなって……と物語を作っている自分がすごく楽しい。そうやっているうちに、だんだん歩き方やら何やら、その人間になっていく。変わる自分を楽しんでいるんです。
