

毎年、6月までの上半期は冬眠するタイプなんです(笑)。今年も4月までは何をやっていたの? という感じなんですけど、下半期はドラマや出演映画の公開や舞台が目白押し。11月まで休みなしで、5作品、ポンポンポンッといろいろな役をやらせていただいています。
最初は7月10日から始まるテレビドラマ『四つの嘘』(テレビ朝日系列・毎週木曜夜9時〜)。そして7月12日からは映画『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(全国松竹系公開)が公開されます。10月、11月は舞台『私生活』が東京のシアタークリエと大阪のシアターBRAVA!で上演され、11月15日からは映画『ハッピーフライト』(全国東宝系)が、来年春には同じく映画『守護天使』が公開される予定です。
似ている役を同じ年に二つやりたいとは思わないので、今年のように全部違う役は、ありがたいですね。自分が今何をやっているのかわからなくなるくらい、それぞれキャラクターが違っていて。寺島しのぶはこうありたい、と思います。
『四つの嘘』は、大石静さん原作の小説を大石さんご自身が脚本化されたもので、41歳になった4人の同級生の女性たちを巡るドラマです。私が演じるのは、西尾満希子。一言で言うと、退屈な主婦。ちゃんと仕事をしている夫もいて、お金もある。二人の子どもは、高校生と中学生で手が離れてもきた。だけど、ふとしたときに、自分は何をやっていたんだろうということを考えるんです。「暇な主婦」というのは、台本のト書きによく書かれているんですけどね。(笑)
今年演じている役柄のラインナップを見たときに、結構エキセントリックな役が多かったんです。だから、その中でこういう普通の主婦を演じるのは、かえっておもしろいかなと思いました。台本を読んでいると「ウザイな、この女の人」と思ったりもするのですが、同時に愛おしくも感じたんですよね。私は大体、その役をお引き受けするかどうか決めるときに、その人が愛おしく感じられるかを基準に選んでいます。愛おしければ「やりたいなぁ」と思う。今回は、読んだ瞬間に「ああ、寺島しのぶの引き出しには全然なさそうだな」という役だったことも、おもしろいと思ってお受けしたんですね。
満希子という女性は、いわゆるKYです。空気が読めない。そして鈍くさい。でも、主婦としてそれを貫いている。声もきっと高くて、おしゃべり、これは私のイメージですが。なんでこの人こうなっちゃうんだろうと、同性から見たら、ちょっと痛い感じ。でも、自分ではそうは思っていなくて「私はみんなのこと思ってやっているのよ」と平気で言えてしまうんです。
でも、そういう人物をつくっていく作業は、すごくおもしろいですね。その人も悪気があってなっているわけじゃないし、真の悪人ではないから。その人にはその人なりの理由がある。理由がわかってくると、愛おしくなっちゃうんですよ。器用に生きられない人間って、やっぱり魅力的なんです。
私は人間が大好きです。『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪は例外として、大抵は日常の人間を演じるわけですから、人間としてどういうふうに役を成熟させていくかの試行錯誤。一話、一話の台詞を頼りに、この人はどういう性格なんだろうかと想像しながら、できあがっていくのが楽しいんです。このドラマでは、人間って普通に生きているように見えて、実は中身は結構残酷なんだよという、その見えないところをさりげなく表現している作品です。珍しく台詞が多いですね。今はカット割で見せたり、音楽とかリズムで見せたりするのが多いけれども、確実に女優に頼ってくれる書き方です。だから、「もうやりましょう! 任せておいて」と腕まくりする気持ちです。(笑)
共演者も、高島礼子さん、永作博美さんと、上手な人たちばかりなので、楽しくやれたらいいなと思いますね。
