

昨年春に休みをとり、ニューヨークに短期留学しました。そのときに出会った英語の先生が忘れられません。年齢は母と同じくらいです。すごくオープンマインドで、英語を教えてくださるだけではなく、「ホテルの具合はどう?」「食事はどうしているの?」と、日常のことも親身になって心配してくれました。
彼女と一緒に食事に出かけると、あらゆる場面で何度も「ありがとうと」いう言葉を使うんです。日本人は、エレベーターに乗るときに開けてくれた人がいたら「すみません」。何か持ってきてくれたら「すみません」って言ってしまいます。でも彼女は、「ありがとう」の気持ちを、“thank you”だけではなく、実にさまざまな表現で表わします。
彼女がレストランでお店の人にありがとうと声をかけると、相手も嬉しそうな笑顔になります。すると食事がもっと楽しくなります。感謝の気持ちを言葉にして伝えると、なんとハッピーなことが広がるんだろう、それってすばらしい! と思いました。
ニューヨーク滞在中、私のことを心からケアしてくださったので、ある日「なぜそんなによくしてくれるんですか?」と聞いてみました。すると、「日本人はシャイだから、何を考えているのかよくわからない場合が多い。私はおせっかいで、うるさいと思われているんじゃないかと心配になる。でもあなたは、私がしたことに対して、嬉しいと伝えてくれた。だから、嬉しさを返したい。それだけなんだ」って。私は決して、「好かれたいから喜びを積極的に伝えよう」と思ったわけではありません。素直に心を開くことができたし、そうしたら彼女も心を開いてくれたんです。自分がどのように人に接するかによって、相手も変わってくることを実感しました。それは国や人種、年齢、言葉とは関係ないと改めてわかりました。
人って、「この人は苦手だな」と思っていると、相手も同じように思っているものですよね。心の内側にあることは、絶対、顔に出てしまいますから。ちょっとした表情に表れてしまうんですね。だから誰と接する場合も、いいところを見つけるようにすると、いい関係が作れると思いました。「言葉はきついけれど、丁寧に仕事をする人だな」とか、「スローペースだけど穏やかな温かい雰囲気を持っている」とか。他人は、自分を写す鏡ですから。
すばらしいスタッフがいっぱいいると、「自分がやってきたことは間違っていなかった。この調子で頑張ろう」と思えます。もしまわりにいる人たちが、「なんでこんなフィーリングなんだろう」と首を傾げる状態なら、自分が呼び寄せていると思ったほうがいいんです。今、自分の心のなかにそういうものがあると振り返らなきゃいけないと思いました。
今年はすがすがしい気持ちで、30代の“私”をスタートできそうです。
