一休.com特派員によるレストランコラム
[010] ピエール・ガニェール ア 東京 PIERRE GAGNAIRE a Tokyo

チャレンジしてみたい日本の食材は何ですか? という問いかけに、笑顔で答えてくれる。
「なにか面白いもの知ってるかい?」
来日の目的のひとつは“新しい発見のため”ピエール・ガニェールは語る。
これまで無数の食材に相対してきたシェフの眼力の奥には、飽くなき探究心と、掘り起こした原石を磨き上げてみようという心意気を感じる。
食材に国境はない、面白いもの、美味しいものはなんでも料理してみる。しかも、すぐに。それがピエール・ガニェールの真髄と感じた。
「今まで経験したことのない“驚き”を感じてもらえる料理だね」
料理を口にした時にお客様が受ける印象は? という問いかけに歯切れよくコトバを発するシェフ。
南青山という場所、内装、料理、全てのクオリティが高く、エレガントなフランス料理のレストラン。
「一休会員のみなさんには、エレガントな雰囲気を存分に感じて楽しんで欲しいですね」
とメッセージを残し、握手を交わして、彼は厨房に戻った。

有名ブランドショップに囲まれる、お洒落な街の一角に佇む、シースルーのエレベーター。入口に近づくと、さりげなく -Pierre Gagnaire a Tokyo 4F- とある。
4階。扉がひらく。笑顔。冷たい外の空気を一瞬にして温かくしてくれる。今日お話を伺う支配人の坂井ひろしさんだ。
「このレストランはその名の通り、ガニェールのアイディアが随所に込められています。たとえば、ホールから見える厨房。
フレームとガラスを通して、料理を用意するコックの姿とキッチンをひとつの絵画として、お楽しみいただきたいという想いです」
なるほど、臨場感のあるオープンキッチンもいいが、このようなさりげない演出も心にくい。その絵画の周りには、同心円の文様が描いてある。これは何ですか?
「こちらは“波紋”です。水面に水を一滴落としたときに広がる模様のように、ガニェールの料理によって、人の心を動かしたい。
料理一皿一皿の感動が、いつまでも想い出となるように、と。そのアイデンティティの象徴です」
ホールは、ゆったりと席が配され、奥には色鮮やかなブース席、そして東京タワーが見える半個室などもあり、人数や状況によって様々な楽しみ方ができるようになっている。
テーブルや内装を見渡しても、非常にシンプルで心地良い。

「一言で表現すれば、スタイリッシュなレストランと言いましょうか。料理、内装、場所、サービスのどれも流行の先端をいくフランス料理のレストランです。」
たしかに、テーブルに並べられたカトラリーやグラス、エレベーターを降りたときのエントランスやバーカウンターの印象、全てがスタイリッシュというキーワードで統一されている。
でもサービスがスタイリッシュとはどういうことだろう。
「このレストランの料理長、シェフパティシエは二人とも20代です。ホールで動くスタッフも若手です。そこにはグランメゾンにはない、若い雰囲気があります。
ガニェールが面白いと感じたことをすぐに実践できる機敏な対応力、お客様のご依頼に瞬間的に判断して動くサービス。
これが明るく、活気があるスタイリッシュなサービスですね」
来日中のガニェールは、1食も欠かさず試食をする。ホールの隅の方で、一人静かに料理と向き合い、その瞬間に閃くことがあれば、厨房で試作。
そのスピードをもって、客にそのとき最先端の料理を提供している。素材は同じものかもしれない。しかし、スタイルを変化させることで、新しい料理を次々と生み出す。
まさにスタイリッシュである。

ガニェールの料理は毎日が“旬”です。
若いスタッフ一同、心を込めてお迎えします。
この南青山という街で、想い出を刻むお手伝いをさせていただきますので、ぜひ一度お越しください。
去り際に、ホールの椅子に刻まれた
のマークに気がつく。「レストランのマークなんですが、これ、テーブルなんですよ。
スタイリッシュなレストランですが、どこか懐かしい食卓への誘いという意味もあるんです」と坂井さんがそっと教えてくれる。
「いつでもお待ちしてます。またぜひ来てくださいね」と笑顔で話す坂井さんは、最年長とは思えないほど若い。
エレベーターを降りたときから、乗るときまで、絶えず楽しい会話で囲んでくれた。
扉の向こうには、ガニェールの想いを紡ぎ届けてくれる、最高の笑顔がある。
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