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一期一会
扉の向こう


 

コンチェルト 快晴の神戸。
MOSAICから眺める海は穏やかで、ポートアイランドタワーの赤色が眩しいぐらいに輝いている。

いつもはレストランに出向いて扉をノックする。しかし、今回ばかりは勝手が違う。どうやらレストランの方から「来てくれる」らしい。しばしハーバーランドの賑やかな景色に見惚れながら佇んでいると、海の向こうから白い船体がゆっくりとくるのが見えた。

コンチェルト全長74メートル、船体の横には大きなト音記号のマークと“CONCERTO”の文字。可動式のタラップが準備されると、扉が目の前に現れた。「ようこそ、コンチェルトへ。さっそくご案内いたします」と出迎えてくれたのは今回お話を伺うパーサーの水野さん。白く輝く制服に負けない笑顔に心を和まされる。
船内に入ると、まずフルートの音色で迎えられる。「コンチェルトという船名からもお分かりかもしれませんが、音楽はこのレストランをお楽しみいただく大切な要素なんです」

ロビーに入ると、船内の上下デッキに繋がる螺旋階段と、ゆったりとしたラウンジスペースがあり、船の中であることを忘れさせてくれる。時折ゆっくりと体が揺れるのも、クルーズ船特有の動きだが、予想以上にその動きを感じない。これは沖へと出航したらどうなんだろう。「ご心配なさらずに。今は接岸してますから、多少の揺れはありますが、動き出すとほとんど感じることはないと思います。なによりも外の流れる景色を眺めていれば、時間をも忘れさせてくれますから」

コンチェルト 外観 出航の時間。大きな汽笛の合図。港から少しずつ離れていく。「神戸の景色や夜景は、山の方から眺めることが多いと思うのですが、コンチェルトは海から見る神戸という贅沢な時間をお過ごしいただけます」たしかに海から夜景を眺めるというのは非日常で特別な時間である。

神戸港を離れ、左手にポートアイランドを眺めながら船は沖へ、ゆったりと進んでいく。コンチェルトは4つのデッキで構成されたクルーズ船で、3つのレストランスペース、と貴賓室(個室)、そして鉄板焼のカウンターを備えている。そして、なによりも最上段のデッキの船尾にあるサンデッキに出たときの開放感は最高である。

コンチェルト 外観
「流れ行く景色はもちろんのこと、コンチェルトではぜひ自慢の中国料理をお楽しみいただければと思います。ちょうど料理長が来ましたので、ご紹介しますね」

鍾(チュン)料理長は、現在国内に数名しかいない中国烹任大使。さっそく聞いた。「食べやすい、というのが特徴です。料理全体の味、コースのバランスももちろんのこと、お客様に食べやすいように個々盛り(お一人様ずつ)でご用意しています。普通、船の中で調理する場合は、陸である程度仕込みをしてから、船内で仕上げをしますが、コンチェルトでは、神戸牛や新鮮な魚介類をその場で調理して、でき立てを食べていただきたいので全て船内で作っているんです」

コンチェルト 鍾(チュン)料理長 なるほど、食事をする側からは当たり前かもしれないが、船という環境の中で、店舗のレストランと同じ味や品質を提供できることは素晴らしい。コンチェルトには3つのレストランスペースがある。

「コースとバイキングを用意していますので、会場が分かれています。一休の会員の皆様には、ぜひコースを味わっていただきたい。クルーズそのものが1時間45分という限られた時間ですが、その中で厳選された7品をお召し上がりいただきます。もちろん、料理にあったワインも各種ご用意していますが、それと併せて音楽にも酔っていただきたいですね」

音楽に酔う?

「乗船したときも、生演奏でお迎えしたと思いますが、コンチェルトには音楽が溢れています。ランチクルーズはクラシック、ディナークルーズはジャズを演奏しています。料理、サービス、音楽、そして風景の4つがハーモニーを奏でる“協奏曲”を楽しむ、それがコンチェルトのコンセプトです。料理は私にお任せください。サービスは水野が、音楽はそれぞれのレストランで。時間と位置で表情が少しずつ変わる風景は、神戸の街に託しています」

コンチェルト 明石大橋
「ハーモニーの要素は、山、空、海、街の4つ。コンチェルトから街や自然のいろんな表情をご覧いただくと、また新しい神戸の魅力を発見できるかもしれません。そろそろ明石大橋に近づいてきました。クルーズの中のベストポイント。ここでプロポーズする人、多いんですね」

オレンジから紫、そして夕闇に包まれる瀬戸内海の上で、まるでだれかに合図を送っているかのように点滅する明石大橋の光を洋上から見ていると、不思議な感覚になる。思わずデッキから海風に当たりながら見たくなった。プロポーズしたくなる気持ちも分かる気がする。

「この明石大橋から折り返すのですが、神戸空港が開港してから、風向きによっては離発着する飛行機が上空を通過するので、それもまた絵になるロマンチックな一瞬です」



プロポーズという言葉が出たので、コンチェルトを利用されるお客様がどのように過ごしているか、聞いた。

「やはり、記念日や接待が多いんですが、ご家族で乗船される方も大勢いらっしゃいます。一番“神戸らしい”時間をお過ごしいただけるのが最大の魅力と考えているのですが、神戸に来たらコンチェルトに乗るというリピーターも増えています。例えば、神戸に住む祖父・祖母を訪ねてきたご家族が三世代揃っていらっしゃることも最近では多いですね」

コンチェルト パーサー 水野さん 最後に、一休会員のみなさまに一言お願いします。

震災の復興を祈念しオープンして、今年10周年を迎えました。もう一度ハーバーランドを明るくしよう! という意気込みで、多くの皆様に愛されるようになりました。健康に配慮した、地元の食材をふんだんに使った中国料理を楽しみながら、窓の外の景色が変わっていく時間を、コンチェルトでお楽しみください。

香港出身の料理長は、豪快な笑顔と流暢な日本語でコンチェルトの料理の魅力、そして神戸の今とこれからを語る。お客様に安全で安心な航海を楽しんでいただきたいというパーサーは、時にはサプライズを用意しているという。船内の至るところに音楽と笑顔が溢れている。1時間45分という時間の中で、神戸の明るい未来を垣間見た。

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