[021] 車海老のビスク

ビルからの熱気とアスファルトの照り返しで気温は40度近い。東名高速道路を西に走っていると、御殿場に近づくにしたがって緑が多くなって、外気温度を示すメーターが0.5度ずつ下がり始める。
箱根まで1時間30分。芦ノ湖畔に到着したのは午後4時半。湖面に写る太陽の光はすでに夕方の輝きである。漣がたっている。風も吹いてきた。木々のざわめきと蝉時雨を聞きながら湖畔の森を散策し、食事の前に一休み。
ここは高い分、山に囲われている分暮れるのが早いのだ。あまりの暑さにたまりかね、そうだ箱根でディナーをと思いつき、レストランを予約したが、薄暮で食事を始めたいと希望すると、5時半にお越しくださいと言われたのはこういうことかと合点した。
テラスで食前酒を飲み、ダイニングに入る。オードブルが終わり、スープが運ばれてきた。細長く小さなグラスには2層になったスープが入っている。上はクリームのカプチーノ仕立て。下は車海老のビスクである。まるでデザートのようだ。
冷たくクリーミーな感触が唇に触れたかと思うと、熱いビスクが流れ込んでくる。ロブスタービスクのような濃厚さはないが、うまみがよく出たさっぱりした味、温度差、その調和が清涼、繊細である。暮れはじめた庭を渡る涼やかな風を感じる。見事である。ちなみにこの時外気温23度。(2007.08.21)