
僕は小学校時代に野球、中学ではサッカーをやっていましたが、中学の頃からラグビーに憧れて、高校では迷うことなくラグビー部を選びました。当時はサッカーよりラグビーのほうがメジャーでしたね。みんなの憧れです。
入部してすぐに、今までやってきたどのスポーツより面白かったので、のめりこみました。
その一番の理由は、ラグビーはすべての要素を含んだスポーツだから。球技のセンスも必要だし、キックの技術はもちろん、格闘技の要素もある。つまり究極のスポーツですね。実際に、子どもの頃から野球、サッカー、バレーボール、バスケットボールなど、いろいろなスポーツを経験したアスリートが、最終的にラグビーを選ぶ場合が多いんです。
早稲田大学でもラグビー部に所属しましたが、大学を卒業する時点で、一線でラグビーをするのはやめようかと思ったことがあります。当時は大学ラグビーが頂点で、社会人ラグビーはちょっと下火という時代でしたから。主将として学生日本一になり、いわば頂点を取ったのだから、会社に就職して違う世界を見ようか、と考えたんです。
ところが社会人決勝戦で勝ったチームのメンバーが男泣きしているのを見て、もしサラリーマンになったら、30歳になってあんなに泣けることないだろうなぁ、と思ってしまった。それでラグビーを続ける決心をしました。ロマンチストですから。(笑)
競技生活のなかで教えられたことは、たくさんあります。ラグビーは目標を達成するために自分たちが何をしなければいけないかが、明確にあります。練習で身につけたものを本番で出せるかどうか。“できた” “できない”ありますよね。できたことはさらに伸ばすし、できなかったことは、なぜできなかったのかを突き詰めていく。そして、できるようになるためには何をしなければいけないか、検証をして実行する。その分析をずっと繰り返していきます。これは、今のビジネスの世界ですごく求められている要素です。ラグビー選手は、自然に練習やゲームから学んでいます。
他のスポーツでもそうじゃないか、と思われるかもしれませんが、一番違うのは、ラグビーは“必然のスポーツ”である点です。
実力がそのまま試合に反映され、偶然性が少ない。練習でできたこと、やったことがすぐに結果につながるので、常に自分に対して客観性を持たざるをえない。負けた理由が必ず読めます。なぜ勝ったかわからない、なぜ負けたかわからない、という偶然がないんですよ。負けた理由がわかるからこそ、次は勝てる可能性が高い。それは“人生”にも置き換えられます。
ラグビーボールは楕円形をしていますから、投げたときの軌跡が球とは違います。バウンドがどちらに飛ぶかわからないという不規則性も、よく人生に喩えられます。生きていれば必ず、どちらに転ぶかわからない局面に遭遇します。ラグビーは、まさに人生の縮図です。
清宮克幸(きよみや かつゆき)
1967年、大阪府生まれ。茨田高校でラグビーを始め、高校日本代表になる。早稲田大学に入学し、日本選手権優勝。4年には主将として大学選手権優勝。卒業後はサントリーに入社し、2001年まで中心選手として活躍した。現役時代のポジションはNo.8、フランカー。2001年、早稲田大学ラグビー部蹴球部監督に就任。4シーズン連続で関東大学対抗戦を全勝優勝、大学選手権は2度制覇している。2006年からサントリーラグビー部 サンゴリアス監督。著書に『究極の勝利』『最強のコーチング』などがある。
清宮克幸 オフィシャルブログ
サントリーラグビー部「サンゴリアス」のオフィシャルサイト
