
今は、シーズン中はほとんど海外がフィールドなので、今日はスイスで、次はイタリア、そしてフランスと転戦する生活です。昔は、海外に行くと友達に会えないとか、言葉が通じない、食事が口にあわないから、早く日本に帰りたいという気持ちが勝っていました。でも今は、各国をまわって見聞を広げ、大きなものをもらっていると実感します。
車や定宿、いつも行くレストランといったアイテムが揃っていくと、海外でも自分らしい生活ができるようになってきました。それが、競技者としてのレベルが上がったことにも通じると思います。余裕を持てるようになったんです。最近は、競技生活とプライベートの色の違いを楽しんでいます。
シーズン中は毎週のように試合がありますが、たまに3週間くらい間隔があく場合もあります。1週間ほど休みをとったりします。車を運転して友達に会いに行ったり、旅行や買い物に行ったり、ヨーロッパを移動します。旅行雑誌も見るようになりました。この間も、モナコを観光したんですけどね、よかったですよ。
ヨーロッパにいると、ドライブが最高ですね。陸続きですから、どこに行くのも近くて、オーストリアを抜けてイタリアまでとか、気軽に行けるんですよね。数時間走ると、違う国になるのが面白い。南に行くにつれて、建物の外壁の色も変わるし、食べ物も変わるし……楽しんでいます。
集中力は365日、使ってはいけない。温めて、ここぞという時に使わないと、落ちてしまう。以前は、試合前にテンションを使いすぎて、集中力が途切れて失敗していたんです。
競技者としてどこまでいけるかは、これから決まると思います。歳を重ねるごとに生き方が少しずつわかってきたのは確かです。でも、わかったと慢心した瞬間、ダメになるのもわかったんです。まだまだ中身が詰まっていないので、これからが成熟期。
表現者、競技者としての成熟だけではなく、人として成熟したい。30年近くスポーツしかしていないから、そうじゃないとただの子どものまま、終わってしまう。(笑)
僕はスキーを通して、ある現実をみなさんに見せることができます。それを感じて吸収してくれたら……そんなギブ・アンド・テイクができたらいいですね。たとえば「メダルを取る」という事実を作った瞬間、人に与える影響力が大きくなる。感動を伝えることができる。僕らは現実を掴むまでは、着飾ったり、華々しくなってはいけないんです。
実は今も怪我をしていますが、今回は、前の経験があるので焦る気持ちはありません。次のバンクーバーオリンピックにどう滑るかというイメージは、しっかり持っています。
競技を長く続けることが目標です。昔は、勝ったらすぐ辞めてもいいと思っていたんですけどね。バンクーバーの次はロシアのオリンピック。長いなあ(笑)。真摯に続けます。
皆川賢太郎(みながわ けんたろう)
アルペンスキー日本代表。チームアルビレックス新潟所属。98年長野オリンピックから日本代表として活躍。06年トリノオリンピック回転で50年ぶりの4位入賞。昨年の右膝前十字靱帯断裂の大怪我から見事に復帰。今期は再び、第1シードを目指す。
公式ブログ
