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竹下佳江 マイスポーツライフ
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バレーボールに熱い私がいた

竹下佳江 オリンピック北九州に帰ってしばらくは、あえて何も考えないようにしましたが、落ち着いてくると、先のことを考えないわけにはいきません。

ハローワークに行って、手続きもしました(笑)。次につく仕事も決めずにやめましたが、なぜか根拠のない自信がありました。なんとか生きていけるだろうって(笑)。一般常識や知識はないけど、これまでバレーボールをやって、苦しんで頑張ってきたので、精神力や体力にはすごく自信がありましたね。これからの人生に絶対にプラスになると信じられました。

一番ありがたかったのは、いろいろな人と接する機会ができたこと。バレーとはまったく関係ない人や、社会で活躍している人など中学、高校時代の友人を通じて、地元での交友関係が広がったんです。見ること、聞くことすべてが新鮮でした。バレーの枠の中だけの常識が正しいと思っていたけど、そうではないことに気付かされました。


友人たちと楽しく遊んでいるうちに、ビーチバレーボールを誘われたんです。やってみたら、砂で競技するのと床とはぜんぜん違うんですね(笑)。勝負をしなくていいし、楽しいなぁ、と思いながら遊んでいました。そのうち、一般の人が参加する男女混合のビーチバレー大会に出ることになって、試合をしました。

試合に臨むと、どんどん熱くなる自分がいるんですよ。「負けたくない」「このゲームを落としたくない」と勝負に向かう気持ちが生まれてきます。そんな自分を見て、「私、バレーボールに対して熱いんだ」と気がついたんですよ。あんなにバレーは嫌いだと思っていたのに、心底嫌いではないと。今でも、同じように好きだし、熱くなれるんだって。

竹下佳江 オリンピック こういう気持ちでバレーができたら、楽しいかもしれないという思いが、きっかけとなって、バレーボールに戻ろうという気持ちが湧いてきました。

福岡に帰ってから、バレーのことが頭をよぎっていないといえば、嘘になります。この先、私は本当に一生、コートに戻らないのか――やっぱりいろいろ、考えていました。

でもバレーへの思いは、あえて自分でブレーキをかけていたんです。行ってはいけない、戻ってはいけない、って。

やめる時にも、「あなたはオリンピックに行きたくないの?」と言われましたが、私は意固地になって、「オリンピックはもういいです」と答えていましたね。「とにかく、やめたいんです」の一点張りでした。
周りの人たちからの、「復帰したらどうか」とか、「まだまだやめる年齢ではない。体力的にもまだできる」という声も聞こえてきましたが、復帰イコール移籍になってしまうので、それも悩みどころでした。

海外では移籍はごく普通ですが、日本の女子バレー界では、移籍はあまりいいこととは考えられていなかったんです。私もそうした慣習の影響を受けていたんでしょうね。入団したところで続けなくてはいけないし、そこをやめたからにはバレー人生が終わってしまう、と。移籍は裏切ることになるし、人としてやってはいけないこと、という思いでしたから。

竹下佳江 オリンピック 万が一復帰しても、自分はどうなっていくのだろう、イヤな自分に戻ると悲しい、とか日々、葛藤に揺れて過ごしていました。
ところが、ビーチバレーをきっかけに私の本当の心に気づき、ブレーキをはずした瞬間、「どうにでもなれ」とふっきれたんです。

スポーツ選手というのは、一人で動いているわけではなく、多くの人の支えもあるし、育ててくれた人の思いもあります。人とのつながりが大きいとは痛感はしていたけど、自分が一線を超える時は、そのあたりの迷いも飛び越えられるんですね。

最後は私一人で決断するしかないし、飛び越えてしまったら、もう前に進むしかない。割り切りというか、開き直るような気持ちはありました。なるようになれ、という感じでしょうか。踏み込んだ後は、自分がどこまで頑張れるか自分次第です。きっと頑張りきれる、その自信はありました。

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竹下佳江(たけしたよしえ)
1978年、福岡県北九州市生まれ。セッターとして、全日本女子バレーボール代表の主将であり司令塔。2004年アテネ五輪で5位入賞を果たす。勝負どころの嗅覚の鋭さ、素早くボールの下へ入り込み、意のままに高速トスをさばくスピードは世界中で驚愕。2004年、プロ宣言し、現役日本女子唯一の「プロバレーボール選手」として、JTマーヴェラスを牽引


PHOTO: (競技写真)©Jun Tsukida/AFLO SPORT





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