

どんな競技でも、メダルを取るような人は、100%プラス思考です。マイナスに考え始めたらキリがないし、必ずプレッシャーに押しつぶされてしまいます。そうならないためには、自分を「プラス思考の人間」にしていく必要があるんです。
本当に気の持ちようで、変わってきますから。それはスポーツの場だけではなく、人生も、まったく同じではないでしょうか。
僕は、どんなにマイナスと思えるようなことが起きても、決してネガティブな受け止め方はしません。悪いことが起きた時には、まず、「この程度で済んで、ラッキーだった」と思うようにしています。
そして、ここが肝心なのですが、「これは、次のいいことのために必要だから、起きたことなんだ」と考えます。自分が原因で起きた失敗も、「これを教訓に次はこうしよう」と考えればいい。失敗もトラブルも、学びの場です。必ず次へのステップなのです。それを「こんな目に合うなんて、自分は運が悪い」とか、「自分には悪いことばかり起きる」とマイナス志向で考え始めると、どんどん悪い方向に向かっていきますよ。
悪いことをプラスに変換さえすれば、それはマイナスの出来事ではなくなり、次に行くための財産になります。その考え方ができるかどうかで、人生は大きく変わっていきます。
マイナス志向の人は、もっともっと悪いほうに行くだろうし、プラス思考の人は、それをきっかけによい展開が起こるはずです。
「でも、どうしても、そんなふうには思えない」という方もきっと多いですよね。たぶんそういう人は、マイナスがプラスに変わる経験をしていないだけだと思います。実感がないから、信じることができないんでしょう、きっと。
でも一度経験すると、「あの失敗は、このためにあったんだ」と気付きますよ。すると、次に失敗した時も、「これは次へ行くためのステップ」と思わずにはいられません。
僕は基本的に、「石橋を叩いて渡る」性格ではありません。橋が崩れても渡ってしまう(笑)。だったら飛び越えてやろう、と思うので。それもどうかとは思いますが。(笑)
もちろん、石橋を叩いて、安全な道を渡るのも必要でしょう。でも、いつもいつもそれでは、大きく進んではいけない。「失敗は財産」と、楽天的にかまえて、時には思い切って「よしっ」と飛んでみたらどうでしょうか。 予想しなかった世界が広がります。
生きていれば、誰だって山あり谷あり。悪いことがない人生なんて、ありえない。いい時は、放っておいてかまわないんですよ。悪い時にどう考えるか、どういう方向に心を持っていくかがすごく大事です。そこで人生の楽しみ方というか、過ごし方が変わってくると思います。同じ生きるのなら、「どうせ自分はダメなんだ」などと思わずに、幸福感を抱いて楽しく生きたほうがいいじゃないですか。そのためには、自分に起きるすべてのことを、よりよい明日のために必要な出来事だと信じることが大切だと思います。
池谷幸雄(いけたにゆきお)
1970年、東京都生まれ。4歳から体操を始める。小学校1年生の時、大阪に転居、その後、清風中学校・高校で才能が開花。1988年ソウルオリンピックでは団体、個人床で銅メダル。1992年バルセロナオリンピックでは団体で銅メダル、 個人床で銀メダルを獲得。1992年秋、引退。翌年から、タレントとして歩み始める。テレビ、ドラマ、CM、バラエティ、キャスターなど幅広い分野で活躍中。また、「池谷幸雄体操倶楽部」を設立。選手の育成を行っている。日本体操協会理事
