

引退後2年間、全国各地で講演をするかたわら、子どもたちや保護者、行政の人たちなど、多くの方たちとお会して話をする機会がありました。そこで感じたのは、今の子どもたちを取り巻く環境はよくない。また、地域のスポーツ活動や学校の部活動もあまり元気がない。そういう現実を知るにつれて、何か僕にできることはないだろうか、何か役に立ちたいという思いがだんだん強くなっていきました。
そんなとき、現役時代に所属していた会社の会長から、議員に挑戦する気はないかといわれました。当然、お断りするつもりでした。
まさか昨日までスキーの選手をやっていた僕が、国会で通用するはずがないと思いましたし、ぜんぜん世界が違いましたから。
最初は国会議員になった荻原健司をイメージできなかったけれど、そのうち、僕が1人の人間として日本をなんとかよくしたいといって、旅をしながら講演をしているだけでは時間がかかる。国会で、「今、現状はこうなんです。こうしましょう」と声をあげたほうが、早いし確実だと思うようになりました。両親に相談すると、後押ししてくれました。それで、選挙に出る決意をしたんです。
議員になって気がついたのですが、アスリートは夢と目標を持って、それに向かってトレーニングをします。議員も「こういう社会になればいい」という夢や目標を見据えて、そこに向けて行動するのが基本です。そういう意味では、スポーツ選手と同じです。
しっかり決断し、心を強くもって難局を乗り越えると、後々いい方向に行っていることが、振り返ってみるとわかります。自分から逃げずに、常に立ち向かう。それは、スポーツから得た生き方です。結局、スキーが今の荻原健司を作ってくれました。僕はスポーツ選手はやめましたが、生涯スポーツマンです。
たまに休みがとれると、海に行ってサーフィンをします。6年前からサーフィンを始めたんですが、面白くてね。昔は「サーファーなんて、遊び人ばかりだろう」と偏見を持っていたんですが(笑)。彼らは、日頃から自然に接しているので、環境問題にも敏感ですね。
僕の好きな言葉は、「本気は本物か」です。いつも自分に問いかけています。
常に自問自答していたのが、競技人生でした。それは今も変わりません。自問自答するのが、人生ですから。「これでいい」と今の自分に安住すると、成長しません。その気持ちを忘れないためにも、議員会館の僕の部屋に、この言葉を書いた自筆の色紙を置いています。進化し続けたいですからね。
荻原健司(おぎわらけんじ)
群馬県草津生まれ。ノルディック複合の選手として長年に渡り世界のトップアスリートとして活躍、オリンピック団体戦で2大会連続金メダル獲得、ワールドカップ個人総合3連覇などを含め通算19勝という前人未到の成績を収めた後、2002年に競技生活を引退。スキースポーツの持つ素晴らしさ、感動を知ってもらいたいという熱い想いから、引退後は子どもたちにスキーの楽しさを教えたいとボランティア活動などを積極的に行う。2004年7月、参議院議員選挙 全国比例代表区で初当選。スポーツ振興や教育問題、環境問題を中心に活躍中
